フリーランスの積み立て退職金 『小規模企業共済』に加入しよう!
フリーランス(個人事業主)の退職金!?小規模企業共済とは
フリーランスの悩みの一つとして、退職金が出ない、ということがありますよね。
たしかに、所属する企業等からの退職金に頼れないのはフリーランスの難しいところかもしれません。ですが、自分の退職金を、自分で毎月こつこつと積み立てる制度があるのを知っていますか?
それって単純に自力で何十年も貯金するってことですよね??そんな根性あるかなぁ・・・貯金できない月があったり、ふとした時に使ったりしてしまうかも・・・。
いえいえ、単純な根性貯金ではありません。小規模企業共済という名前の制度で、以下のような特長があります。
「小規模企業共済」の特長
①毎月、自分で決めた金額(掛金)を半強制的に積み立てることができます。
(口座引き落としだから、自分でお金を振り込む必要なし!)
②65歳以上になった受け取り時には、それまで積み立てた総額以上の金額を受け取ることができます。
③積み立てている間、その積み立てた金額分が全額、所得控除の対象となります。
④分割受け取りの場合、受け取る金額は公的年金等の雑所得扱いとなり、税制メリットもあります。
⑤ 積み立てた金額を担保に、金融機関からお金を借りることもできます。(一定の条件および審査あり)
こんなにお得なら、すぐ始めたい!・・・ですけど、「掛金」とか、「分割受け取り」とか、聞きなれない言葉がちらほら・・・
上記に示した①~⑤の特長順に、小規模企業共済を理解していきましょう。
こつこつ貯めて、セカンドライフをデザインしよう。
・毎月、積み立てる金額のことを
・掛金は1,000円~70,000円の範囲で、500円単位で自由に設定が可能です。積み立ての途中で増額、減額もできます。
【?どうして積み立てた金額以上の金額が受け取れるの?】
・小規模企業共済の加入者によって集められた資金は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)によって、国債、地方債、政府保証債、信託等に資産運用されており、現在まで安定した運用が実現されています。
・加入者は共済金の受け取りの際、掛金の納付月数、および共済事由ごとに、受け取ることができる基本共済金(固定額)が規定されています。さらに、毎年度の運用実績に応じて、経済産業大臣が毎年度定める率により算定される付加共済金がある場合は、付加共済金額分も加算されて受け取ることができます。
・いくら積み立てたらいくら受け取れるかは、中小機構のホームページからシミュレーションすることができます。
シミュレーション、してみましたよ!今、25歳で加入して、脱退が65歳になる40年後だから・・・
・シミュレーションに挑戦してみましょう。
・2019年現在25歳で、本日(この記事の公開年月)加入した場合、脱退を65際になったとき、40年後の2059年に設定しましょう。
・次に毎月の掛金を設定します。40年間の平均を想像して設定しましょう。ここでは仮に20,000円を設定します。
・最後に課税所得(要はフリーランス業の収入)を設定します。仮に、年収450万円の場合のおおよその課税所得金額(超概算)、200万円を設定してみましょう。
・「計算実行」!
結果画面をもとに、小規模企業共済の特長を見ていきましょう。
・まず、最下部に算出されている項目は、何か月加入し、毎月いくらを、計いくら積み立てたかという合計です。
25歳~65歳までのおよそ40年間(481か月)20,000円を積み立てた合計は、9,620,000円です。
・最上部に算出されている項目は、実際に受け取ることのできる金額の目安です。
後述しますが、共済金の受け取り方には、基本的に、「廃業した場合(共済金A)」、「65歳以上を迎えた場合(共済金B)」の2通りがあり、場合により受取金額に若干の差額が出ることがあります。
960万円の掛金に対して、1200万円近くも受け取ることができるんですね!
シミュレーションはあくまで超概算ですが、いかにおトクな制度かイメージが持てましたか?受取金額だけでなく、その下の「節税効果」にも注目しましょう。
・小規模企業共済の掛金は、全額を小規模企業共済掛金控除として、課税される所得から控除することができます。
つまり、所得の数字が少なくなる分、所得税、住民税も減らすことができます。シミュレーションでは、およそ年38,800円の節税効果が見込まれています。
38,800円の40年分は、1,552,000円!受け取る金額の増分と合わせると、普通に貯金するよりも3,826,000円もお得に・・・すごい。
合計で掛金に対してどれくらいお得になったかということが、「実質返戻率」としてその下に算出されていますね。
努力は実る。
・掛金は税法上、全額を小規模企業共済等掛金控除として、課税対象となる所得から控除できます。
※掛金は加入者本人の収入から支払うため、事業の必要経費、および損金には参入できません。
※「課税される所得金額」とは、その年分の総所得金額から、基礎控除、扶養控除、社会保険料控除等を控除した後の額で、課税の対象となる額をいいます。
【共済金を受け取るタイミングについて】
・共済金を受け取ることができるタイミングには、主に以下のパターンがあります。
①個人事業を廃業したとき、または、共済契約者が死亡したとき
②老齢給付(65歳以上で180か月以上の積み立てがあるとき)
③任意解約
※任意解約時点で加入期間が240か月を下回っている場合、また、240か月以上加入した場合でも、契約途中の増額/減額の割合により、受け取り金額(解約手当金)が積み立てた掛金の総額を下回る場合があります。(元本割れ)
【共済金の受け取り方法について】
・共済金の受け取り方法には、主に以下の3パターンがあります。
①「一括受け取り」・・・共済金を一括で全額受け取る。税法上は退職所得扱いとなる。
②「分割受け取り」・・・共済金を分割(2か月ごとの振り込み)で受け取る。税法上は公的年金等の雑所得扱いとなる。
③「一括受け取りと分割受け取りの併用」・・・一部を一括で受け取り、残りを分割で受け取る。税法上は、一括受け取り分は退職所得扱い、分割受け取り分は公的年金等の雑所得扱いとなる。
分割受け取り、つまり「公的年金等の雑所得扱い」で受け取ると、どんなメリットがあるんですか?
・掛金の納付機関に応じた限度額の範囲内で、事業資金等を借り入れることができます。
・およそ掛金総額の7割~9割の範囲で、下記に示すように様々な目的に応じた融資制度が用意されています。
①一般貸付制度
②傷病災害時貸付け
③緊急経営安定貸付け
④福祉対応貸付け
⑤事業継承貸付け
⑥創業転業時・新規事業展開等貸付け
⑦廃業準備貸付け
・それぞれの貸付け制度について詳しくは、中小機構のホームページからご覧ください。
さて、ここまでざっと小規模企業共済の特長を見てきましたが、いかがでしたか?
早速始めてみたいと思います!加入にはどんな手続きが必要なのかな・・・
加入には大きく4ステップ。①必要書類の入手、②書類の記入、③窓口へ提出、④中小機構からの書類の受け取りです。
・フリーランス音楽家の場合、小規模企業共済の加入に必要な書類は以下3点です。
①「確定申告書」の控え、または「開業届」(※事業を始めたばかりで確定申告書がない場合)
②契約申込書(記入例)
③預金口座振替申出書(記入例)(掛金を引き落とす口座)
※実際の書類の請求はこちらから
・申し込み書類がそろったら、銀行窓口など、中小機構と業務委託契約を締結している金融機関や、委託機関の窓口へ提出し、手続きを行います。手続きと同時に初回の掛金を支払う場合は、その分のお金も用意しておきましょう。
※ゆうちょ銀行、新生銀行、あおぞら銀行、インターネット専業銀行等、小規模企業共済を取り扱いしていない金融機関もあるため、注意してください。
※事前に最寄りの金融機関窓口へ確認するか、中小機構ホームページから主な窓口機関を確認しておきましょう。
< ※現在、郵送やwebによる申し込みはできません。めんどくさがらず直接窓口へ足を運びましょう。ついでに、小規模企業共済について気になるあれこれを聞いてみましょう。
・申込日から約40日後、中小機構から『小規模企業共済手帳』と『小規模企業共済制度加入者のしおり及び約款』が送られてきます。
これであなたも小規模企業共済の仲間入り!
まずは5000円くらいから、将来のためにコツコツ貯めてみようかな。
老後の資金をしっかり自分で作って、長く音楽生活を楽しみたいですね。