年末調整について
年末調整ってなんだ
先月、アルバイト先で「年末調整に関わる書類があったら早めに出してね」って言われたんですが、年末調整って何ですか?
今回は年末調整について見ていきましょう。実際の計算方法や手続きの方法は、多くの方にとって特に関わりの深い部分ではありませんが、所得控除の種類については、フリーランスの方が確定申告をする際にも繋がってくる話になりますので、所得控除の種類と年末調整の目的の2つを軸にして話を進めて行きます。
まずは前知識として、源泉徴収という言葉について理解しておきましょう。
源泉徴収について
会社等の経営者が従業員に給与を支払う際、あらかじめ、給与から社会保険料や所得税を差し引いた額を支払います。
これを源泉徴収といいます。(給与明細を見ると、いくら差し引かれたかの記載があるはずです。)所得税を徴収する国側としては、あらゆる会社員、アルバイト、パート等の雇用形態の国民に個人ごとの確定申告を求めた場合、申告を忘れる人がいたり、申請額を間違える人がいたりして、税金を取り損ねる可能性があります。
それを避けるために、「給与支払い前にあらかじめ少し多めに引いておこう。多く引きすぎた分は後で払い戻そう(還付)」というのが、源泉徴収と年末調整を取り入れている理由です。
年末調整について
※必ずしも源泉徴収された所得税額の方が多いとは限りません。毎月の給与が月によって極端に増減した場合などの理由で、源泉徴収の納税額だけでは不足している場合、追納する必要があります。追納は勤務先の担当者によって給与から天引きされることで完了します。
なるほどー。私がアルバイト給与から本来収めるべき所得税額を計算するために、「年末調整に関わる書類があったら早めに出してね」って言われてたんですね。
そういうことです。保険料の納付をしていたり、扶養家族をお持ちだったり、住宅ローンの残高があるなど一定の条件に当てはまる方には、所得金額の控除が適用されます。続いて、その年末調整に関わる書類について見ていきましょう。「書類を出してね」と言われた時、なにを出せばよいのかという話です。
従業員側から見て、年末調整において担当者に提出する必要のある書類は以下の通りです。下記の中から、自分が該当している書類があれば、それを担当者に提出します。
なお、この記事ではターゲットの読者層としている現役学生、および卒業後間もないフリーランス音楽家に特に関わりのある可能性のある書類については
①給与所得者の保険料控除申告書
②保険料の納付を証明する書類
③給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
④給与所得者の配偶者控除等申告書
⑤給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
⑥住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
年末調整によって収めすぎた所得税が還ってくることが多い。
給与所得者の保険料控除申告書
給与所得者の保険料控除申告書を提出する必要のある方は、
①生命保険料や医療保険料、共済の掛金などを払った人
②地震保険料を払った人
③国民年金保険料や国民健康保険料を給料天引きではなく自分で払った人
④確定拠出年年金や小規模企業共済などの掛金を払った人
以上に該当する方です。例えば、あなた(読者)が対象(被保険者)の生命保険の保険料を、あなた以外のご家族(両親など)が支払っている場合、あなたはこの申告書を提出する必要はありません。自分の保険料を、自分で支払っている場合のみ、該当します。地震保険料、国民健康保険料などについても同様です。
下記は、給与所得者の保険料控除申告書の記載例です。保険の種類、保険の名称等は、保険会社との契約内容をご確認ください。
※記載例 国税庁ホームページより転載
保険料の納付を証明する書類
保険料控除を受けるためには、「確かに保険料を納付しましたよ」という証明が必要です。保険会社から送付される控除証明書を添付しましょう。
控除証明書には契約者名や適用制度、年間払込保険料の申告額など、控除制度の申告に必要な事項が記載されています。
控除証明書が自宅に届く時期は、払込方法や各保険会社の送付スケジュールによっても異なります。おおまかな目安としては以下の通りです。
①毎月払い:毎年10月中旬頃から
②年払い/半年払い:10月中旬頃から
③一時払い:10月中旬頃から
④前納:契約月の翌月
⑤団体扱い(給与天引き):契約者に送付なし
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
この申告書は、①勤労学生控除、②障害者控除、③寡婦(夫)控除、④扶養控除を受けるために提出が必要になります。この記事では、勤労学生控除のみを詳細に解説します。
①大学院生、大学生、高校生、専門学校生、職業訓練学校生など。(年齢制限はありません)
②合計所得金額65万円以下(収入130万円以下)
上記の条件に当てはまり、かつ、アルバイト先が年末調整を行なってくれる場合には(通常、行なってくれます)、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、および学校が発行した在学証明書の2点をアルバイト先の担当者に提出すること、アルバイトをしていない場合には自身で確定申告をすることで、27万円の控除が受けられます。
自身が勤労学生にあたり、かつ、保護者の方の扶養にあたる場合、アルバイトの収入においてはさらに保護者の方の扶養控除も意識すべきでしょう。
あなた(読者)が保護者の方の扶養家族である場合、保護者の方はお勤め先での年末調整において、または確定申告において、扶養控除を申告されていると思います。(扶養家族がいる場合には扶養家族の年齢、人数によって一定額の控除が認められる)
扶養家族にあたる条件は下記のとおりです。ここでのポイントは下記③です
①配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
②納税者と生計を一にしていること。
③年間の合計所得金額が38万円以下であること。 (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
④青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
勤労学生の控除は学生の収入が130万円以下まで可能でしたが、扶養控除は103万円までなんですね・・・?
こ、これは、130万円まで上限があるからまだ働けると思って103万円以上130万円以下までアルバイトで稼いだ場合、自分自身に振り込まれるバイト代は増えるけど、保護者の扶養控除を外れてしまうため、家計全体で見れば損をしている可能性がある、ということですね!!
下記は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の記載例です。赤マルの箇所を必ずチェックしましょう。
※記載例 国税庁ホームページより転載
ところで、年末調整の期限って、いつなんですか・・?
皆さんの勤務先の経理のような方々は、従業員の年末調整を、翌年の最初の給与支給日の前日までに税務署に提出することになっています。みなさんは、それぞれの勤務先の担当者の方に指示された期限までに忘れず提出しましょう。