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第6話 申告いろいろ。「白色申告」と「青色申告」の違い

確定申告の申告方法は2種類ある

 

申告に白色、青色って、どういうことですか・・・?

 

我が国の所得税は、納税者が所得金額と税額を正しく計算し納税するという申告納税制度を採っています。

1年間に生じた所得金額を正しく計算し申告するためには、日々の取引(振り込まれたギャラの金額や、交通費、楽譜購入費などの経費)を記帳し、また、その取引に関わる様々な書類(明細書、領収書など)を保存しておく必要があります。

そこで、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度があります。

 

 

簡単に言うと、
①簡単な記帳(お金の収支の管理簿、要するに家計簿)で申告できるかわりに節税効果は無い白色申告

②複雑な記帳が必要な代わりに節税効果の高い青色申告

の2種類がある、ということです。

 

 

なるほど。複雑な分、正確な申告に対しては節税できる特典がつく、ということなんですね。

 

具体的に、青色申告にはどんな特典があるんですか?

 

 

 

青色申告のメリット

①最大65万円(※1)の青色申告特別控除
               (注)※1 2021年2月17日から提出が始まる2020年分の確定申告から、青色申告、かつe-taxで申請した場合は最大65万円控除。紙の申請の場合は最大55万円控除に制度が変更されるので注意。

②純損失(要するに赤字)の繰越控除、繰戻し還付

③青色事業専従者給与の適用

 

 

フリーランス楽家にとって特にメリットとなる特典は①と②でしょう。この2つを主に見ていきましょう。

 

 

記帳は毎日の積み重ねが大事。

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最大65万円青色申告特別控除

青色申告では、最大65万円の特別控除を適用することができます。

控除というのは、所得金額のうち、課税対象となる金額から、一定の金額を引くことができる。ということです。結果、納税額を減らすことができます。

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例えば、課税所得250万円の場合、通常(白色申告)は超過累進課税により、192万円までの部分に5%の税率、残りの58万円の部分には10%の税率がかかります。この場合、納税額は15.4万円です。
(※超過累進課税については第4話で簡単に説明しています。)

一方、青色申告特別控除により、課税所得250万円から65万円が控除されると、課税対象となる所得金額は185万円となります。
これに超過累進課税の税率を当てはめると、185万円に5%の税率、すなわち9.25万円が納税額となります。

 

 

課税対象の所得金額が減る青色申告特別控除のメリットは、所得税の納税額が減るだけではありません。

 

 

青色申告特別控除のメリット

①課税対象となる所得金額が減ることで、所得税の納税額を減らすことができる(上記のとおり)

②課税対象となる所得金額によって納税額が決まる住民税保険税の納税額も減らすことができる!

※確定申告後、毎年6月ころに住民税や保険税の納付書が届きます。おそろしいね。

 

 

所得税だけでなく、住民税や保険税にもメリットがあるんですね!これは大きい!

 

 

②純損失(要するに赤字)の繰越控除

 

 

例えば、昨年は-20万円の赤字で、今年は+100万円の黒字となる所得があったとします。通常(白色申告の場合)、今年の所得税率はいくらに対してかかると思いますか?

 

 

 

今年の所得は100万円だったから、100万円ですよね。

 

昨年は20万円の赤字が出ているので、赤字を取り戻してからの実際の利益は80万円分ですが・・・

 

 

その通りです。
これが、青色申告をすると、赤字が出た年から翌年3年間にわたり、黒字と赤字を相殺して確定申告をすることができます。上記の場合は、今年の所得を80万円として 申告することができます。

 

 

※後々の回で解説しますが、青色申告をする際には申告書Bの第一表と第二表というものを提出します。これらに加え、純損失の繰越控除をする際は「申告書第四表(損失申告用)」も提出します。

 

3年間にわたり、ということは・・・

 

 

3年前に-20万円の純損失が発生し、2年前から今年までの毎年の所得が10万円だった場合、2年前と1年前の所得税の納税義務は発生せず、今年の10万円分の所得に対してのみ所得税がかかる。ということですね?

 

その通り!

 

 

純損失の繰戻し還付

 

納税者は、赤字が出た年、前年までの過去において青色申告をしていた場合は、繰越し控除か繰戻し還付のどちらかを選択して申請することができます。

 

繰越し控除は、純損失が出てから、翌年以後3年間の所得税を控除するものでした。

繰戻し還付は逆に、前年までは黒字だったけど、今年は赤字になってしまった。という時に、前年の黒字分の所得金額から今年の赤字分(全額または一部)の金額を引き算し、その金額にかかる納税額と、前年納税した納税額の差分が還付される(払った税金が返ってくる)というものです。

 

上記の例の場合、この差分である2.9万円が還付されます。

 

ただし、繰戻し還付は審査が非常に厳格で、本当に申告内容が正しいか、国税庁の調査が入ることも多いです。払った税金を返す手続きというのは大変なんですね。繰越し控除の選択が無難と言えるでしょう。

 

③青色事業専従者給与の適用

 

フリーランス楽家にとってこの制度を適用される方は稀だと思いますので、下記に概要だけを説明します。

 

専従というのは、その仕事にもっぱら従事するという意味です。
例えば、納税者本人が漫画家やイラストレーターであり、そのご家族が漫画やイラストの制作、事務作業などを手伝っていて、納税者本人がそのご家族に対して給与を支払っている場合に適用できます。

通常、ご家族に給与としてお金を渡しても家族間でお金が移動しただけで、納税者本人にとって、この出費を経費として処理できません。これを、ある一定の条件を満たしていれば、例外的に経費として処理することを認めますよ。というのが青色事業専従者給与の適用です。

一定の条件というのは、例えば、

①作業を手伝ってくれるご家族のメインの職業が、そのお手伝いの業務であること(普段は会社員で土日だけ作業を手伝う、などは不可)。
②ご家族に給与として支払う金額をあらかじめ届出書に記載して税務署に提出していること。
③作業に対して常識的な報酬額であること。

などがあります。

あなたの申告は何色?

 

これだけ特典があるのなら、青色申告に挑戦しようかな・・・。白色申告と青色申告の提出書類の違いはなんですか?

 

 

 

今回は2種類の申告方法の制度面での違いを説明しました。では次回は、申告に必要な書類の違いを見ていきましょう。

 

次回・・・第7話 申告いろいろ。必要書類の違いと、青色申告の「ウラワザ」

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