第11話 「所得」は全部で10種類!
前回はレシートや領収書を収入、経費、控除書類の3種類に分けましたね。
今回はその中の収入に注目して、それがどの種類の所得に分類されるかを見ていきましょう。
とはいえ、一般的なフリーランス音楽家の主な所得は事業所得または雑所得と、アルバイトもしている方は給与所得です。まずはこの3種類をしっかり理解して、その他の7種類については概要を理解しておきましょう。
①給与所得 ②事業所得
③雑所得 ④利子所得
⑤譲渡所得 ⑥配当所得
⑦山林所得 ⑧不動産所得
⑨退職所得 ⑩一時所得
私が「収入」に分類した書類は、指導料の領収書に、ブライダルや老人ホーム、地域のイベントなどでの演奏料の振込書、あとはレストランのアルバイトの源泉徴収票ですね。
開業届を提出していない場合は、上記の事業所得にあたる収入は雑所得に分類されます。また、本業が別にあり(会社員や公務員、演奏家以外の個人事業主など)、副業として演奏や作曲をおこない収入を得た場合も、この副業の収入は雑所得に分類されます。
では、次に10種類の所得について、概要を見ていきましょう。自分に心当たりのある所得を押さえておきましょう。
・給与所得とは、勤務先から受ける給料、賞与などの所得をいいます。
・給与所得は、その支払の際に所得税が源泉徴収されており(納税額があらかじめ引かれている)、給与所得以外の収入が無い場合、勤務先において行われる源泉所得税等の精算、すなわち年末調整を受けることによって原則として確定申告を行う必要がなくなります。
・ただし、年末調整で清算できない医療費控除などを受ける場合や、給与以外の所得の合計額が年間20万円を超える場合、また、年間の給与所得が2000万円を超える場合、2か所以上から給与所得を得ている場合には、確定申告が必要となります。
私のアルバイト収入はこれにあたるわけですね。文中にある年末調整については、以前勉強しましたね。
・事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。
・事業所得の金額は、事業の総収入金額-必要経費で算出します。
・雑所得とは、他の9種類の所得の中のどれにも当てはまらない所得のことです。
・副業の収入などのほか、公的年金も雑所得に分類されることがポイントです。
雑所得の金額は、次の(1)と(2)との合計額です。
(1) 公的年金等 収入金額 - 公的年金等控除額*1
(注)*1公的年金等控除額は、受給者の年齢、年金の収入金額に応じて定められています。
(2) 公的年金等以外のもの 総収入金額 - 必要経費
開業届を出している場合の音楽家としての収入は事業所得、開業届を出していない場合は雑所得に分類が変わることがポイントです。
他の7つの所得については以下の通り概要を押さえておきましょう。
④利子所得:銀行預金の利子など
⑤譲渡所得:土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡するときに生じる所得
⑥配当所得:株式や投資信託の配当金など
⑦山林所得:山林を譲渡するときに生じる所得
⑧不動産所得:不動産などの貸付から生じる所得
⑨退職所得:退職手当など
⑩一時所得:懸賞の賞金、競馬やレース等の払戻金、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金など
利回り30%の不動産所得をください。
利子所得は申告不要
預金口座の利子まで申告しないといけないんですか・・・?(気にしたことない)
いいえ、大丈夫です。
利子所得は、源泉分離課税といって、あらかじめ税金が引かれた額が利子として銀行から口座に振り込まれています。そのため、銀行などから受け取った利子については基本的に確定申告の必要はありません。
あんな数円の利子からも税金が引かれているんですね・・・。
余談ですが、今の大手銀行の普通預金の利子って、「0.001%」とかが多いですよね。この0.001という数字、銀行のシステム上で設定できる最小の数字なんですよ。
悲しい裏側を聞いてしまいました・・・。
中古品の売却について
そういえば私、大学の卒業と同時に学生時代の不用品を中古ショップやアプリを使って売ったんですが、この収入はどの所得に分類されるんですか?雑所得でしょうか?
中古品の売却で得た収入は原則非課税です。つまり税金がかかりません。基本的に生活上使った中古品は、新品で買った時より高くは売れないとみなされるからです。
・生活上使った家具や家電、書籍、衣類などは、金額に関係なく非課税。
※ただし、骨とう品や絵画、宝石などの贅沢品で、1つあたりの売却額が30万円を超えるものについては課税対象です。
自分の収入がどの所得に分類されるか見分けがつきましたでしょうか?次回は所得金額を計算するうえでも重要な経費について見ていきましょう。