第12話 「経費で落とす」ってどういうこと?
そもそも「経費」って?
先日、父が「今度出張で海外に行くんだ」って言ってたので『交通費すごいんじゃない!?』って言ったら、「大丈夫だよ、経費で落ちるから」って言われました。
経費で落とすって、たまに聞きますけど、どういうことですか・・・?
経費っていう言葉、どんな意味が思い浮かびますか?どうやら経費になると良いことがあるようですね。
この場合、交通費は社員の負担じゃなくて会社が出してくれるってことですよね。経費は、会社が出してくれるお金のこと・・・?
なるほど、半分正解というところでしょうか。確かに交通費や接待費など、会社が社員に出してくれるこれらのお金は経費に含まれます。
ですが、経費を理解する上でのポイントは、社員よりも会社にとってどういう良いことがあるか、という点に注目することです。そして、ここで言っている会社とは、フリーランスに置き換えるとあなた自身です。あなたがトクをするために、しっかり経費を理解しましょう!
①事業を行うために使ったお金のこと。
②例えば、仕事のための楽譜代、交通費、ドレス代など
③経費で使った金額は、その年の売上から引くことができる
(売上-経費=所得(利益))
④つまり、経費の金額分だけ、支払う税額を減らすことができる!
なるほど!仕事をするために使った金額(経費)は、売り上げから引くことができるから、売り上げが減った分、所得が減るので所得税の納税額を減らすことができるっていうことなんですね!
そうです。経費にあたるものはきちんとエビデンス(証拠:レシートや領収書)を残しておいて、きちんと経費として計上しましょう。
上記での「楽譜代」や「交通費」、「衣装代」は経費としてイメージしやすいですが、例えば他にはどんなものが経費にできるんですか?
①仕事で使用している部屋の家賃や駐車場代(自宅がレッスン室も兼ねる場合も経費として一部計上可)。
②仕事で使用している部屋の水道光熱費および通信費(自宅がレッスン室も兼ねる場合も経費として一部計上可)。
③チラシ・フライヤーなどを作成するのにかかった印刷代およびデザイナーに依頼した場合はその謝礼など。
④リード、弦やピック、ケーブルなどの消耗品代。
など。
家賃や光熱費、通信費も経費に入れちゃっていいんですね!私は自宅の一部屋だけをレッスン室としても使っていて、他の部屋はプライベートで使っているんですが、その場合はどうするんですか・・・?
その場合には、家全体のうち、仕事で使っている割合だけを按分して申請します。
「あんぶん」・・・。
上の間取り図の例を見てください。このように家全体の中で、仕事で使っている面積が約1/4の場合、家賃が10万円だとしたらその1/4、2.5万円を経費として計上します。
按分とは、私生活に使っている部分と仕事で使っている部分を分けて考えて、仕事に関係する部分だけを申請することです。光熱費や通信代(インターネット接続代)なども、このように按分して申請します。
あれもこれも理由をつけて経費に入れちゃえば、どんどん節税になる・・・?
例えば、フリーのライターさんや漫画家さん、ブロガーさんの中には、取材で遠方に出張に行った際には報告書を作っている方もいらっしゃいます。いつどこで誰に、どんな取材をしてその結果どんな作品を作ったのかをレポートとしてまとめておくのです。こうすることで、確定申告の際に、税務署の方に「この出張費の経費は本当に旅行ではなくて仕事なのですか?」と聞かれたときに自信をもって証拠を出すことができますよね。
◯◯音楽祭などの講習会やセミナー、演奏旅行などの遠征に行った際には特に、上記のような報告書を残しておくと良いでしょう。また、旅行会社等を通じて旅程の予約をした場合は、その領収書や、旅行会社から送られてきた旅程表、講習会のパンフレット、テキスト等は必ず保存しておきましょう。
私は出張大好きです。
経費にできそうなエビデンスが集まったら、次はそれらを「勘定科目」ごとに仕分けましょう。
「勘定科目」?また、聞きなれない言葉が・・・。
難しい話ではないですよ。これまでは「経費」という大きいくくりで考えて、経費になりそうな項目を集めてきましたが、それらが「地代家賃」「接待費」など、どの科目にあたるか整理するということです。
やることはわかりましたが、「勘定科目」の種類なんて知りません・・・。
次回・・・第13話 経費を勘定科目ごとに分けよう!