世の中ね、顔かお金かなのよ

フリーランス音楽家に捧ぐ税金ブログ

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しば

音大卒SEの日記

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就活の「し」の字も知らなかった音大生が就活してみた

 就活シーズンだな。。。

この季節になると自分の就活を思い出す。。これから暖かくなるにつれて、街なかとか電車の中とかでベージュのトレンチコートを着た就活生とか、まだ革の硬そうな新しい靴を履いてる就活生を見かけることが増えるんだろうな。みんながんばれ。

 

私も仕事で就活中の学生と会う機会があって、それで気が向いたのでまだ覚えてるうちに自分のときはこうだったなーっていう日記を書きます。

夏ぽよ

1.大学3年生の夏。前期の試験が終わって夏休み。全国のウェイの霊圧をそこかしこに感じてた。

安定した生活と音楽を天秤にかける

1.8月~9月にかけて2つのソロコンクールで演奏したけど、残念ながら2つとも予選落ち

2.規模の小さいものも含めると私は中学生からコンクールに参加してて、成果が出た経験も出なかった経験もすでに何度もしてたけど、この時の感触はなんとなく違って、このころから(やっと)卒業後の進路とかこのまま音楽家を目指し続けていくことについて改めてまじめに考え始める。就職3:進学7くらいで考えてた。

秋ぽよ

1.一体何回観に行くんだ?ってくらい君の名はを映画館に観に行ってる。

大学の学生支援課がやってくれる就活説明会に行った

2.当時の手帳を見ると、11/2に大学内で開催されてる就活説明会があったらしい。

3.就活といっても、まじで何から始めてどうやって企業を調べたらいいか全くわからないし、エントリーシートって何?インターンって何?無知オブ無知って感じだったのでとりあえず丸腰で行ったら、支援課の見慣れた人と一緒にマ〇ナビの男の人が来て説明してくれた。

4.最終的に、まずは冬のインターンに行ってみましょうみたいな感じで終わったと思うんだけど、話全体を聞き終えて、ふ~ん、おもしろそうだな~って思った。やること新鮮すぎて。

5.この時点で国語っぽい勉強と算数っぽい勉強が必要なことが分かったので(SPIとか、CABとか、玉手箱とかね。)、テキストを買って、空き時間は全部使って大学の図書館か研究室で勉強した。図書館が多かったかな。

 

マイナビに登録した

1.マイナビに登録して、まずはインターンシップを開催してる会社を探し始めた。すでにプログラマーとして働いてた兄の影響が大きくて、業界は最初からITだけで絞ってた。なんかかっこよさそうじゃんね。

2.1日~3日程度で終わる短期間のインターンシップを探して、社会勉強と思って申し込んだ。特に応募が多いインターンシップだと選考があるもの(作文とか、WEBで受ける国語と算数のテストみたいなやつ)もあったけど、選考のないやつが中心だった。

冬ぽよ

インターンシップに行った

1.ちなみにインターンシップっていうのは就労体験のこと。実際に会社に行って、その会社の業務を模したレクリエーションに加えて、会社説明もちょこっとしてくれる。

2.私はIT業界、かつシステムエンジニアの志望だったので、インターンシップは8割くらいグループワークだった。でも内容は様々で、たとえば、弊社が実際に提供しているサービスにはこんなものがあります。これらを組み合わせて何か新しいサービスをグループで考えてみましょう。とか、これからこういうプロジェクトを立ち上げます。メンバー候補のそれぞれの人の特徴はこんな感じです。どんなメンバー構成にするかグループで話し合いましょう。とか。

3.インターンは勉強になったし、始まってみると大学での学びとはまた全然違う頭の分野を使ってるみたいで楽しかった。

これが世間の一般男性か

1.が、インターンの会場に入って一番衝撃だったのが、何十人、ときに100人以上もの同年代男性の群れ。久しく経験していない状況に混乱して、正直その後の就活を含めても一番緊張した場面。

2.何話せばいいんだろう......あの、ご趣味は......?

3.あとみんな頭良すぎな。なんでそんなアイデア思いつくんだろう。これもいい刺激になった。

4.あの、休日は何されてるんですか......?

「就職しようかな」って思わされた、とあるインターン

 1.とある1日インターンに行って、そこで聞いた講義が将来考えている進路の割合を就職寄りにした。就職6:進学4くらい。

2.その内容を短絡的に説明する。

3.例えば、私が卒業後7年間フリーランスとして活動して、アルバイトと演奏などで毎年100万円(計700万円)稼いだとする。

4.でも、やっぱりこれじゃ生活できないやと思って、30歳で就職、その後定年(60歳とする)まで働いたとする。

5.まず、30歳で初めて就活するという大きな壁がある。通常は主任級になって、企業の主要戦力として働き盛りの年齢なので、新人として取ってくれる会社は多くはない。

6.収入の話をすれば、例えば、新卒で就職し、その後54歳~60歳の7年間の平均年収が700万円だったとする。7年間で4900万円の収入だ。

7.定年まで働くとした場合、フリーランスを7年間していた私は、その分企業で務めるのも7年短いわけなので、この定年間近7年間の収入を失うという事実がある。この例では生涯収入の損失額にして4200万円にものぼる。

8.現実的な問題として、フリーランスからやっぱり社員に、というのは、たとえばこの例のように音楽家として生活できなかったからという理由の場合、精神的にも経済的にもかなり厳しい結果になる。

で、また安定した生活と音楽を天秤にかける

1.もっと正直な言い方をすればお金と自分の音楽を天秤にかけた。

2.心がしんどくなったのでアパートのすぐ近くのはま寿司で炙りトロサーモンチーズを食べまくった。うめえ~

 

 

音楽が専門でなくなることがこわかったので、そもそも音楽で何がしたかったのかを考える。

1.プロの音楽家になって何したかったんだっけぇ......。

2.例えば、自分が演奏に参加してる(もっといえば自分のソロの)アルバムを出したり、自分のリサイタルをたくさんに聞いてもらって「良いな~」って思ってもらったり、とにかく自分の作った成果を世の中に残したかった

3.それじゃあ、音楽より、より本質であるこの欲求をかなえられる仕事だったら自分でも希望をもって働けるんじゃないか......?

4.だったらITは悪い道じゃないぞ。なによりなんかかっこよさそうじゃんね。

 

IT企業の取り組みについてまじめに情報を集め始める

1.きっかけとなった例のインターンで、「日経ビジネス」っていう雑誌をオススメしてたので、日経ビジネスと、日経系のIT情報誌を買って読んだ。

2.兄の務める会社は金融系だったこともあり、「日経FINTECH(フィンテック:金融(ファイナンス)と科学技術(テクノロジー)を掛け合わせた造語)」っていう雑誌を買って読んだ。

お、おま、おるやん

1.日経FINTECHに、兄の会社の人と、兄が作ったシステムが大々的に取り上げられてた。

2.めちゃくちゃかっこよかった。

3.私が音楽を通して実現したかったことそのものだった。

この記事が私の進路を決定づけた

1.進路の考えが就職10:進学0になって、自分でもびっくりなくらいあっさりスパッと就職に考えが切り替わった。

自分が目指せる理想のIT企業を探し始めた

1.兄の会社は新しいことに取り組んでいて私の憧れだった。

2.が、私にはプログラミングの教養は全くなく乙ぽよだったので即戦力を求めるような会社に入ることは叶わなかった。

3.入社後ゼロからでもみっちり研修が受けられて、給与や勤務時間的にも、音楽活動が続けられること。

4.一言でいえばホワイトなところ。

年明けぽよ

1.興味のある会社をいくつか候補を出して、まだインターンがあるところには申し込んだり、会社説明会に申し込んだりした。

2.中学高校の友達と情報交換して、「みんなの就職活動日記」とか、「Vorkers」とか、「就活会議」とか、企業の情報が集まるWEBサイトをみて、企業や就活の試験の情報を集めた。

 

いよいよ就職試験がはじまる

1.インターンや説明会を聞いた感じ、そこで接した社員の感じ、あとは先述したWEBサイトの評価を見て受けたい会社にエントリーシートを出した。

2.エントリーシートっていうのは就職試験を受けたいですっていう願書みたいなものなんだけど、「入社を希望する理由」とか「学生時代頑張ったこと」とか、「入社後どんな仕事をしていきたいか」みたいな項目を書く場合が多かった。

3.そんな午前3時の居酒屋で幼馴染にむけて話すような内容をいきなり知らない人に向けて文章にしないといけないので結構大変。

4.でも、私はそれぞれ意思がはっきりしてたので馬鹿正直に書いた。もうちょっと盛って書いたらかっこよかったかもしれない。

5.私がその会社に魅力を感じるかの判断基準は、上記1.で示したもののほか、「提供している製品・サービス」「社員がどんなキャリアを積んでいるか」「Vorkersなど、実際の社員が書き込んでいる口コミの評価の良さ(悪さ)」

6.IT業界へ自分をアピールするならと思って1ヶ月集中して勉強して「ITパスポート」っていう資格を取った。

 

1次試験はたいていWEB試験とエントリーシートの内容

1.WEB試験っていうのは何度か言ってる国語と算数みたいな試験をパソコンで受けること。

2.内容は国語と算数なんだけど、問題の形式によってSPI形式とか、CAB形式とか、GAB形式とか、玉手箱形式とか形式が分かれているので、自分の受けたい会社が過去にどの形式を採用していたかの情報を調べて、それの対策をして受験した。

3.情報の収集元は上記サイト。

4.一次試験のWEBテストは勉強すればした分だけ点数に繋がるのでコツコツやるのが良い。

5.11月から勉強始めてこの頃には大抵どんな問題でも満点が取れるようになった

6.使ったテキストはこれ↓。これ良いよ。テキストもいろいろ売られてるけど、解説がしっかりしているものがおすすめ。

7.私が受けた会社ではTG-WEB形式とCAB形式が多かったな。

2次試験。「服装自由」って言ったじゃん!

1.とある会社の2次試験はグループワークで、みんながそれぞれ話し合ってる周りを試験官がぐるぐる回って評価をつけていく形式だった。

2.「服装自由」っていう案内が来てたので普通に私服にスニーカーで行った。

3.さすがにキャラクターものの服とかじゃないけど(持ってない)、色シャツにカーディガンにチノパンにスニーカー。量産型地味大学生で行った。

4.いざ会場に着いたら他の就活生200人くらい例外なく全員スーツなんだが。

5.みんな普段からスーツ着てるのか?私服がスーツなのか?私服の制服化?ジョブズなのか?

6.動揺しながらもなんとかグループワークをこなした。

7.が、この会社は落ちた。

 

春ぽよ

第一志望の会社の試験が始まる

1.WEB試験は十分実戦積んでたので自信があって、無事通った

2.グループワークは、なんと奇跡的にメンバーが自分の他は全員女性で(実際IT業界にいてみて、まじでとんでもない奇跡だと知った)、すごく話しやすくて、うまく話し合いができた。

3.面接は、たびたびTwitterのTLに想定外すぎる質問がきたって話題になるけど、この会社はほとんど私に関しての質問(私が答えたことに対しての深掘り)だったので、とっても答えやすかった。

4.「音大生×IT企業」っていう組み合わせは話題に事欠かなくって、試験官の方はすごく興味を持って話を聞いてくださった。

5.多分、IT企業に限らず大抵の業界に対して話題性はある。うまく活かそう。

6.「辛抱強さ」、「探求性」、「計画性」、「(まがいなりにも)周囲と協調して1つの本番を作り上げる力」とかは、良いアピールポイントじゃないかな。

7.私はシステムエンジニア(SE)の志望で、SEには「協調性」「計画性」「専門性」なんかが求められるので、大学一年次から4年間続いたカルテットグループの話を軸において組み立てたら、どの会社でもとても評判良かった(と思う)。

8.自分の志望する仕事にどんな能力が求められるかを考えて、それに対応する自分の活動をアピールするのがきっと良いと思う。

最終面接は音楽の話で盛り上がった

1.社長が音楽に理解のある方で、最終面接は音楽と音楽家の活動、音大ってどんなとこ?みたいな話で盛り上がった。

2.たのしかった〜〜

3.あとやっぱりこの会社かな〜って運命的なものも感じた

4.キュン

決めぽよ

1.しばらくして第1志望の会社から内定の通知をいただいた。

2.他に内定をいただいていた会社、選考途中だった会社に辞退を申し出て、就活を終えた。

就活の「し」の字も知らない音大生が就活してみた

1.就活期間中、試験の後にはほぼ100%、自分へのご褒美も兼ねて友達と一緒にご飯食べた。

2.これが気分転換や癒しになって精神衛生上めちゃくちゃ良かった。

3.就活に関しては、就活した先輩、就活している友達、大学の支援課の人、兄など、みんなと話をしまくった。

4.情報収集にもなるし、気分転換にもなった。

5.大学3年の秋から、突然方向転換して全く新しい世界に入ったので、正直大変さよりも楽しみをもって就活できた。

6.そしてその後実際に会社に入ってからは以前記事にしたとおりこんな感じ

その後

1.コンクールは出ず、コンサートピースをたくさん勉強した。

2.試験曲でもコンクールの課題曲でもなく、小品やマイナーでも自分の好きな曲を勉強してレッスンで見ていただくのはすごく勉強になったし楽しかった。

3.ファイナンシャルプランナーの資格をとった。(3級を取って、社会人になってから2級も取った)

4.IT業界の運転免許証、「基本情報技術者」の試験を受けて、落ちた。(社会人になってから合格した)

5.プログラミングを勉強した(Java)

6.鍋パしたり、ディズニー行ったり、旅行行ったり、プリ撮ったり、バドミントンしたり、サッカーしたり、あたらしくアンサンブルを組んで1年間活動したり、おなじみのカルテットで文化祭公演したり。めっっっっちゃ楽しかった。

あとがき

1.結果的に、自分の場合は就職して良かったと思っている。

2.ただ、音楽家の活躍の仕方というか、音楽家になった場合の将来像の視野が狭かったなとも思う。

3.プロのオーケストラ、吹奏楽団やスタジオミュージシャンだけが音楽家の生業じゃないもんね。

4.たくさんの先輩や先生、友達に話を聞いて、音楽家の活躍する場についてたくさん勉強してほしい。

5.でも、サラリーマンも音楽家とおなじくらい素晴らしい仕事だし、実際に就活してみて、就活や就職に対してのマイナスイメージは全然もたなかった。

6.将来本当にやりたいことをじっくり考えて、自分が納得のいくようがんばって!

 

ほな。

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